投資競馬のすすめ。その9
投資競馬のすすめ。その9 2026-01-14
7.投資競馬の由来
「投資競馬」という言葉の由来は、特定の誰かが名付けた造語というよりも、競馬が**「ギャンブル(博打)」から「データサイエンスに基づく資産運用」へと進化した過程で自然発生的に定着した概念です。
その歴史的背景と、言葉が普及したきっかけについて解説します。
1) 概念の誕生:統計学との融合
1980年代後半から1990年代にかけて、パソコンの普及とともに個人の競馬ファンが大量のデータを処理できるようになりました。
- マイニングの登場: 1990年代、JRAのデータを分析するソフト「TARGET」などが登場し、過去の膨大な着順・タイム・血統を統計的に処理することが可能になりました。
- 「期待値」の導入: ファイナンス理論で使われる「期待値(期待収益率)」という考え方が競馬に持ち込まれました。「当たるか外れるか」ではなく「長期的に賭け続ければ資産が増えるか」という視点にシフトしたことが、投資競馬の原点です。
2) 「投資」として認知された歴史的事件
「競馬は投資である」という主張が社会的に大きな注目を集めた象徴的な出来事がいくつかあります。
a. 卍(まんじ)氏事件(2010年代)
日本で「投資競馬」という言葉が一般層にまで知れ渡る最大のきっかけとなったのは、通称「卍氏」と呼ばれる男性による所得税裁判です。
- 内容: 独自の数理モデルを用いて数億円の利益を上げた男性に対し、外れ馬券が経費として認められるかが争われました。
- 結論: 最高裁は、男性の購入方法が「定期的かつ網羅的」であり、「娯楽の域を超えた経済活動(投資)」であると認め、外れ馬券の経費算入を認めました。この「国が経済活動(投資)と認めた」という事実が、投資競馬という呼称に強力な根拠を与えました。
b. 海外ヘッジファンド・投資グループの参入
香港や欧米では、古くから数学者や統計学者がチームを組み、アルゴリズム取引のように競馬を運用する組織が存在していました。彼らがJRAの市場(プール)にも巨額の資金を投じ、システム的に利益を上げている実態が報じられるようになり、「競馬=プロによる投資市場」という認識が強まりました。
3) 言葉の由来:言葉の使い分け
「投資競馬」という言葉は、以下の3つの要素が組み合わさって定着しました。
- 脱・ギャンブル: 感情や応援、ロマンを排除し、冷徹に数字だけを見る姿勢を、既存の「競馬ファン」と差別化するために「投資家」と自称し始めたこと。
- 資金管理(マネーマネジメント): 1レースの勝ち負けに一喜一憂せず、ポートフォリオ理論のように資金を配分する手法が株式投資と酷似していたこと。
- 情報商材・ビジネス展開: 2000年代以降、必勝法を販売する業者やソフト開発者が、信頼性を高めるためのマーケティング用語として「投資」という言葉を多用したこと。
4) 投資競馬の定義の変遷
現在では、JRA自身もデータ分析の重要性を認めており、単なる「遊び」ではなく「戦略的な知的ゲーム」としての側面が強調されています。
5) 結論
「投資競馬」の由来は、コンピューターによるデータ分析の普及(1990年代)に始まり、高額配当を巡る裁判での司法判断(2010年代)によって、一つの確立された運用スタイルとして社会的に定義されたものと言えます。
現代の投資競馬は、単なる勝ち馬予想ではなく、「JRAが提供するオッズという市場の歪みを利用したアービトラージ(裁定取引)に近い活動」であると理解されています。

